LTV(顧客生涯価値)とは?中小企業での考え方と使い方、計算の基本と注意点

LTV(顧客生涯価値)とは、1人のお客様が、取引を始めてから終わるまでの間に会社にもたらす売上や利益の合計のことです。1回の取引の金額ではなく、付き合い全体でお客様を見るための考え方です。この記事では、計算の基本と、小さな会社での使い方をまとめます。

LTV(顧客生涯価値)とは

LTVは、英語の Lifetime Value の略で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれます。1人(1社)のお客様が、取引を始めてから終わるまでの間に、会社にもたらす価値の合計を表します。

たとえば、最初の仕事は小さな金額でも、その後に何年も依頼が続くお客様がいます。1回ごとの売上だけを見ていると、こうしたお客様の大切さが見えにくくなります。LTVは、お客様との付き合いを長い目で見るための物差しです。

LTVは、通販や月額課金のサービスなど、多くのお客様とくり返し取引する事業の話でよく使われる言葉です。しかし、顧問契約や保守の仕事のように、1人のお客様との付き合いが長く続きやすい仕事でも、考え方そのものは役に立ちます。

LTVの計算の基本

LTVの出し方にはいくつかの式がありますが、基本になるのは次の式です。

  • 売上で見る場合:平均の取引単価 × 取引の頻度 × 取引が続く期間
  • 粗利で見る場合:平均の取引単価 × 粗利率 × 取引の頻度 × 取引が続く期間

月額の契約のように、毎月決まった金額が入る仕事では、「お客様1件あたりの月額 ÷ 1か月あたりの解約率」で概算する方法もあります。解約率が毎月同じだと仮定して、「1 ÷ 解約率」を平均で続く月数とみなす式です。たとえば月額1万円、解約率5%なら、1万円 ÷ 5% = 20万円(平均20か月続く計算)です(仮の数字です)。契約の件数が少ないと、解約0件の月が多く数字が大きくぶれるため、半年〜1年分の解約率をならして使います。粗利で見る場合は、さらに粗利率を掛けます。解約率の出し方は「顧問契約・保守契約の更新管理」で解説しています。

どの式を使う場合も、頻度と期間の単位(月か年か)をそろえることが大切です。

次は、説明のための仮の数字で計算した例です。実際の数字は、業種や会社によって大きく違います。

  • 1回の取引の平均単価:5万円
  • 取引の頻度:年に4回
  • 取引が続く期間:3年
  • 粗利率:40%

この場合、売上で見たLTVは 5万円 × 4回 × 3年 = 60万円です。粗利で見ると、60万円 × 40% = 24万円になります。同じお客様でも、売上で見るか粗利で見るかで数字が大きく変わります。社内で話すときは、どちらの数字かを決めておきましょう。

LTVと紹介の関係

紹介営業をしている会社では、LTVを考えるときに紹介も意識しておくと役に立ちます。

  • 紹介をくれるお客様の価値:自分の取引額は小さくても、新しいお客様を紹介してくれる人がいます。その人の価値は、本人の取引だけのLTVでは表しきれません。紹介から生まれた売上は、LTVとは別に「紹介から生まれた売上」として並べると、同じ売上を二重に数えずにすみます。
  • 集客経路ごとのLTV:紹介で来たお客様と、ほかの経路で来たお客様とで、取引が続く期間や単価に違いがあるかを比べられます。経路の記録のしかたは「集客経路の分析のしかた」で紹介しています。

中小企業でのLTVの使い方

  • 集客にかける費用の目安にする:1人のお客様からどのくらいの粗利が見込めるかが分かると、広告費や会費にいくらまでかけてよいかを考えやすくなります。
  • 長く続くお客様の共通点を探す:LTVの高いお客様に共通する業種や依頼の内容、経路が分かれば、営業の的を絞れます。
  • 取引のあとのフォローを考える:取引が続く期間を延ばすことも、LTVを高める方法です。定期的な連絡や、次の提案のきっかけづくりを考えます。
  • 新しいお客様と今のお客様のバランスを見る:新しいお客様を増やすことと、今のお客様との取引を続けることの、どちらに力を入れるかを考える材料になります。

LTVを使うときの注意点

  • 件数が少ないと数字がぶれる:お客様の数が少ない会社では、大口のお客様1人で平均が大きく動きます。平均だけでなく、お客様ごとの数字も見ます。
  • 見込みであって約束ではない:これから先の期間を含む数字なので、あくまで目安として扱います。
  • 終わった取引と続いている取引を分ける:取引が終わったお客様の数字は実績、今も続いているお客様の数字は途中経過です。混ぜて平均すると、続く期間が短く見えることがあります。
  • 粗利に含める範囲を決めておく:何を原価として差し引くかで粗利は変わります。会計上の扱いは税理士に確認してください。

よくある質問

LTVは、お客様の数が少ない会社でも使えますか?
使えます。ただし、平均の数字はぶれやすいので、お客様ごとに「これまでの取引の合計」を並べるところから始めると分かりやすいでしょう。

取引が続く期間は、どうやって決めればよいですか?
過去のお客様の記録があれば、取引が始まってから終わるまでの期間を平均して使います。記録がない場合は、仮の期間を置いて計算し、記録がたまったら見直します。

LTVを高めるには、何から始めればよいですか?
LTVは単価・頻度・期間の掛け算なので、どれかを少し伸ばすことを考えます。小さな会社では、取引が終わったお客様に理由を聞く、定期的に近況を伝えるなど、期間を延ばす工夫から始めやすいでしょう。

まとめ

LTV(顧客生涯価値)は、1人のお客様が取引全体を通じてもたらす価値を表す考え方です。基本は「平均の取引単価 × 頻度 × 期間」で、粗利率を掛けると、売上より実態に近い、もうけの目安になります。小さな会社では、集客にかける費用の目安や、長く続くお客様の共通点を探すのに役立ちます。紹介から生まれた売上は別に並べ、件数が少ないうちは目安として使いましょう。お客様ごとの取引と紹介の記録を1か所にまとめる方法は、ご縁ナビのページで紹介しています。

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