粗利で案件を分析する方法|売上だけでは見えない外注費と時間を含めた見方

売上が大きい案件が、もうけの大きい案件とは限りません。外注費や仕入れを差し引き、かかった時間もあわせて見ると、売上の小さな案件のほうが割のよいこともあります。この記事では、案件を粗利で見る方法と、時間を含めた比べ方をまとめます。

売上だけで案件を見ると起きること

案件を売上の金額だけで見ていると、次のようなことが起きやすくなります。

  • 売上は大きいのに、外注費が多く、手元にあまり残らない
  • 何度も手直しが入り、時間がかかりすぎている
  • 忙しいのに、思ったほど利益が増えない

こうした状態に気づくには、案件ごとに「売上からいくら残ったか」を見る必要があります。その基本になるのが粗利です。とくに、外注を使う仕事と自分たちだけで進める仕事が混ざっている会社では、売上の大きさの順番と、手元に残る金額の順番が入れ替わることがあります。

粗利・粗利率とは?案件ごとに差し引く費用

粗利は、売上から売上原価を引いた金額です。会計では「売上総利益」と呼ばれます。粗利率は、売上に対する粗利の割合です。

  • 粗利:売上 − 売上原価
  • 粗利率:粗利 ÷ 売上

サービス業や士業、制作の仕事では、売上原価にあたるものとして、外注費や仕入れ、案件のために使った材料などが考えられます。何を売上原価に含めるかは、業種や会社の経理のしかたで変わります。決算や申告に関わる判断は、税理士に確認してください。この記事では、社内で案件を比べるための見方として説明します。

案件ごとの粗利を出すときは、その案件のためだけに使った費用を差し引きます。

  • 外注費:デザイン・撮影・作業の一部などを外部に頼んだ費用
  • 仕入れ・材料:案件のために買った商品や材料
  • 案件専用の費用:その案件のためだけに契約したサービスや、交通費など

ここでの案件ごとの粗利は、社内で比べるための数字です。決算書の売上総利益とは、含める費用の範囲が違うことがあります。

家賃や事務所の通信費のように、どの案件にも共通してかかる費用は、多くの場合「販売費及び一般管理費」に入るため、案件ごとの粗利には入れずに別に見ます。

時間を含めて見る「時間あたり粗利」

個人事業主の場合、自分の作業時間はそもそも費用になりません。会社でも、人件費を案件ごとに分けずにまとめて扱っていることがあり、その場合は粗利の数字だけでは時間のかかり方が見えません。なお、制作にかかわる人件費を売上原価に含めている会社では、粗利はすでに人件費を引いた後の数字になります。時間の目安と比べるときに二重に引かないよう注意してください。扱いは税理士に確認してください。そこで、社内の物差しとして「時間あたり粗利」を見る方法があります。

  • 時間あたり粗利:案件の粗利 ÷ その案件にかかった時間

かかった時間には、作業だけでなく、打ち合わせ、移動、見積もりづくり、手直しの時間も含めます。正確な記録が難しければ、案件が終わったときにおおよその時間を残すだけでも、比べる材料になります。

時間あたり粗利は、会計の数字ではなく、社内で案件どうしを比べるための目安です。自分の1時間をいくらと考えるかを決めておくと、この数字を見て「割に合う仕事か」を考えやすくなります。

商材ごとに粗利を比べる(仮の数字の例)

案件ごとの数字を、商材やサービスの種類ごとにまとめると、違いが見えてきます。次は説明のための仮の数字です。

  • サービスA:売上30万円、外注費18万円、粗利12万円(粗利率40%)、かかった時間40時間、時間あたり粗利3,000円
  • サービスB:売上10万円、外注費0円、粗利10万円(粗利率100%)、かかった時間20時間、時間あたり粗利5,000円

売上だけで見ると、サービスAはサービスBの3倍です。しかし時間あたり粗利で見ると、この例ではサービスBのほうが効率がよいことが分かります。ただし、サービスAが次の仕事や紹介につながりやすいなど、数字に表れない価値があることもあります。数字は、判断の材料のひとつとして使います。

粗利で見た結果の使い方

  • 価格や見積もりを見直す:時間がかかりすぎている商材は、価格や作業の範囲を見直すきっかけになります。
  • 案件の進め方を変える:手直しが多い案件は、最初の打ち合わせで決める内容を増やすなど、進め方を変えます。
  • 引き受ける前に見通しを立てる:時間あたり粗利が低い仕事が続くと、ほかの仕事に使える時間が減ります。引き受ける前に、粗利とかかる時間の見通しを立てる習慣をつけます。
  • 集客経路ごとに見る:どこから来た案件の粗利が高いかを見ると、力を入れる経路を考えやすくなります。経路の記録のしかたは「集客経路の分析のしかた」で解説しています。

よくある質問

粗利と営業利益は何が違いますか?
粗利は、売上から売上原価を引いたものです。営業利益は、粗利からさらに人件費や家賃などの「販売費及び一般管理費」を引いたものです(制作や作業に直接かかわる人件費を売上原価に含める会社もあります)。案件どうしの比較には粗利、会社全体のもうけを見るには営業利益、と使い分けます。

時間の記録が面倒で続きません。
最初は、案件が終わったときに「だいたい何時間かかったか」を1行残すだけでも構いません。比べられる数字があることが大切です。

粗利率はどのくらいあればよいですか?
業種やサービスの内容によって違うため、一律の目安はありません。自分の会社の商材どうしや、過去の自分の数字と比べて見るのがおすすめです。

まとめ

案件は、売上だけでなく粗利で見ると、手元に残る金額の違いが分かります。外注費や仕入れなど案件専用の費用を差し引いて粗利と粗利率を出し、かかった時間で割った時間あたり粗利もあわせて見ると、商材ごとの違いが見えてきます。会計上の扱いは税理士に確認しながら、社内で比べるための物差しとして使いましょう。営業の数字を分析する全体の流れは「営業の分析はなぜ必要?」で解説しています。案件と売上の記録を1か所にまとめる方法は、ご縁ナビのページで紹介しています。

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