フリーランスの納期管理|複数案件のスケジュールを工程に分けて重なりを防ぐ方法
フリーランスの納期管理は、案件を工程に分け、それぞれに「自分の締め切り」を置くことから始まります。納期の日付だけを見ていると、作業が重なったことに気づくのが遅れるからです。この記事では、複数案件のスケジュールの立て方と、重なったときの調整の仕方をまとめます。
納期の日付だけを管理すると、重なりに気づきにくい
納期の管理というと、お客様と約束した日をカレンダーに書くことを思い浮かべがちです。ところが、納期の日付が離れていても、作業の時期は重なっていることがあります。
たとえば、来週納品の案件と、再来週納品の案件があるとします。日付だけを見れば余裕がありそうです。しかし、再来週の案件の初稿を今週中に出す約束をしていれば、今週は2つの案件の作業が同時に進みます。作業が始まってから重なりに気づくことも少なくありません。
複数の案件を抱えるフリーランスにとって大切なのは、納期の日ではなく、作業をする時期を見えるようにすることです。
案件を工程に分けてスケジュールを立てる
まず、1つの案件をいくつかの工程に分けます。分け方は仕事によって違いますが、たとえば次のような形です。
- 制作・デザイン:ヒアリング、素材の受け取り、構成、初稿、確認待ち、修正、納品
- ライター:取材や資料集め、構成、執筆、確認待ち、修正、納品
- エンジニア:要件の確認、設計、実装、テスト、確認待ち、修正、納品
工程ごとに、かかる作業時間の見込みと、「この工程をいつまでに終えるか」という自分の締め切りを決めます。納期から逆算して、後ろの工程から日付を置いていくと組み立てやすくなります。
素材の受け取りやお客様の確認のように、相手が動く工程も、スケジュールに入れておきます。ここが遅れると、後ろの工程がすべてずれるからです。お客様に素材や確認をお願いするときは、「何日までに」という日付を添えて伝え、その日も表に書いておきます。
スケジュールの余裕の取り方
スケジュールは、予定どおりに進まない前提で立てておくと崩れにくくなります。余裕を取るときは、次の点を意識します。
- 1日の作業時間を全部埋めない:打ち合わせ、連絡、請求などの事務にも時間がかかります。
- 納期の直前に工程を詰めない:最後の修正や確認に使える日を残しておきます。
- 確認待ちの日数を見ておく:お客様の確認に何日かかりそうかを、受注のときに聞いておきます。
- 修正の回数を決めておく:見積や取引条件の段階で、修正の範囲や回数を伝えておくと、作業が膨らみにくくなります。
体調を崩したときや、急な用事が入ったときのことも考えておきます。予定を詰め込みすぎないことが、結果としてお客様への約束を守ることにつながります。
複数の案件を1つの表で見て、週ごとに見直す
工程に分けたら、すべての案件の工程を1つの表かカレンダーにまとめます。案件ごとに別々のファイルにすると、重なりが見えません。
週の初めには、次の順で見直します。
- 今週の工程を並べる:今週中に終える予定の工程を、すべての案件から拾います。
- 作業時間の合計を見る:使える時間を超えていないかを確かめます。
- 確認待ちの案件を確かめる:返事が遅れているものがあれば、早めに連絡します。
- 来週の工程を先に見る:来週に山が来るなら、今週のうちに前倒しできる作業を探します。
新しい依頼の相談が来たときも、返事をする前にこの表を見ます。空いている時期が分かれば、無理のない納期を提案できます。案件全体の記録の仕方は「フリーランスの案件管理の方法」で解説しています。
納期が重なったときの調整と伝え方
それでも納期が重なることはあります。そのときは、次の考え方で調整します。
- 気づいた時点ですぐに相談する:納期の直前に伝えるほど、お客様の選べることが減ります。
- 動かせる納期を見極める:お客様の事情で動かせない日もあれば、少しなら調整できる日もあります。
- できることを一緒に伝える:「この部分は先にお渡しできます」のように、代わりの提案を添えます。
伝えるときは、理由を短く伝え、新しい日付を具体的に示します。決まった新しい納期は、メールなどあとで見返せる形で残し、表も同じ日に直しておきます。
重なりが続くときは、受けている仕事の量そのものを見直す時期かもしれません。無理を重ねるより、新しい依頼の納期を最初から長めに相談するほうが、お客様にとっても安心です。
よくある質問
作業時間の見込みが、毎回ずれてしまいます。
実際にかかった時間を、工程ごとにメモしておくのがおすすめです。何件か続けると、自分の仕事の速さが見えてきます。次の見積やスケジュールを立てるときの材料になります。
お客様の確認が遅れて、納期に間に合わないときは?
確認が遅れたことで後ろの工程がずれることを伝え、納期をどうするかを相談します。確認をお願いするときに、「何日までにお返事をいただけると、納期どおりに進められます」と期限を添えておくと、遅れを防ぎやすくなります。
急ぎの依頼は受けたほうがよいですか?
表で今週と来週の空きを確かめてから返事をします。ほかの案件の納期を守れない受け方は、どちらのお客様の信頼も失いかねません。
まとめ
フリーランスの納期管理は、案件を工程に分け、作業をする時期を見えるようにすることから始まります。すべての案件の工程を1つの表にまとめ、週の初めに見直す。余裕を残しておき、重なったときは早めに相談する。この流れを持っておくと、複数の案件を並行しても、約束した納期を守りやすくなります。