営業の分析はなぜ必要?小さな会社こそ数字で見たほうがよい理由と始め方
営業の分析は、人数の多い会社だけのものではありません。少ない人数で営業する会社ほど、ひとつの判断の重みが大きく、勘だけに頼ると見落としが起きやすくなります。この記事では、最初に見る数字と、分析を続けるための方法をまとめます。
勘に頼る営業の限界
小さな会社の営業は、社長や担当者の経験と勘で回っていることが多いものです。経験からくる勘は大切ですが、それだけに頼ると、次のようなことが起きやすくなります。
- 印象に残った出来事が全体に見える:大きな受注が1件あると、その集客のしかたがうまくいっているように感じます。
- 少しずつ減っているものに気づけない:問い合わせがゆっくり減っていても、忙しい時期には気づきにくいものです。
- 人に説明できない:なぜこの交流会に通うのか、なぜこの仕事を受けるのかを、家族や社員に数字で示せません。
数字は勘を否定するものではありません。勘が合っているかを確かめるための道具です。
小さな会社こそ営業の分析が必要な理由
「うちは小さいから、分析なんて」と思われるかもしれません。しかし、小さな会社にこそ分析が役に立つ理由があります。
- 時間が限られている:営業に使える時間が少ないほど、どこに時間を使うかの選び方が売上を左右します。
- ひとつの判断が重い:会費のかかる会への入会、広告、値上げなど、ひとつの判断が1年の売上に与える影響が大きくなります。
- 件数が少なく、記録を始めやすい:お客様や案件の数が少ないうちは、記録の手間も少なくてすみます。件数が増えてから始めるより楽です。
専任の分析担当を置く必要はありません。数字を見る目的は、来月の時間の使い方をひとつ決めることです。その程度の分析なら、月に30分ほどから始められます。
最初に見る営業の数字は4つ
はじめから多くの数字を追う必要はありません。まずは次の4つを、月ごとに出してみます。
- 新しい問い合わせ・紹介の件数:その月に生まれた、新しいお客様候補の数
- 案件の数:面談や見積もりまで進んだ数
- 受注件数と受注金額:その月に決まった仕事の数と金額
- 成約率:受注件数 ÷ 案件の数
4つの数字は、上から順につながっています。問い合わせが案件になり、案件が受注になります。どこで数が大きく減っているかを見ると、手を打つ場所が分かります。問い合わせは十分あるのに案件になりにくいなら、最初の返信や面談の進め方を見直す、といった具合です。
たとえば、ある月に案件が10件あり、そのうち3件が受注になったなら、成約率は30%です。案件になった月と受注した月はずれることがあるので、成約率は3か月ほどまとめて見ると安定します。これは説明のための仮の数字ですが、毎月同じ出し方で並べると、「問い合わせは増えたのに受注が増えない」「件数は少ないが決まりやすい」といった変化が見えてきます。
慣れてきたら、お客様がどこから来たかを分けて見る、売上ではなく粗利で見る、といった次の段階に進みます。集客経路ごとの見方は「集客経路の分析のしかた」、粗利での見方は「粗利で案件を分析する方法」で解説しています。
数字を出すための記録のしかた
分析のもとになるのは、ふだんの記録です。お客様候補や案件ごとに、次のことを残しておきます。
- 日付:問い合わせや紹介があった日
- きっかけ:紹介・交流会・ホームページ・既存のお客様など
- いまの段階:面談前・提案中・受注・見送り
- 金額:見積もりの金額と、受注した金額
- 次にやること:次の連絡日や、送る予定の資料
記録は、出来事があったその日のうちに付けるのが理想です。あとからまとめて思い出そうとすると、きっかけや日付があいまいになりがちです。
見送りになった案件も、消さずに残しておきます。決まらなかった案件の記録があってはじめて、成約率が出せるからです。記録は Excel やスプレッドシートでも始められます。
営業の分析を続けるためのコツ
分析は、一度やって終わりでは意味がありません。続けるために、次の点を意識します。
- 月に一度、日を決める:月初の30分など、振り返りの時間を予定に入れておきます。
- 同じ形で並べる:毎月同じ数字を同じ順番で並べると、前の月と比べやすくなります。
- 完璧を目指さない:記録に抜けがあっても、まずは続けることを優先します。
- 行動をひとつだけ決める:数字を見たら、「来月はこれを試す」をひとつ決めます。
数字を見るだけで終わらせず、小さな行動につなげることで、記録する意味が感じられるようになります。
よくある質問
ひとりで仕事をしていても、営業の分析は必要ですか?
はい、役に立ちます。ひとりの場合は時間がいちばん限られているので、どの集客や営業に時間を使うかを決める材料になります。最初は、月ごとの受注件数と金額だけでも構いません。
件数が少なくて、数字に意味があるのか分かりません。
件数が少ないうちは、1か月ごとの数字はぶれやすくなります。3か月や半年でまとめて見ると、傾向をつかみやすくなります。
どのくらい続ければ、効果が分かりますか?
業種や件数によって違うため、一概には言えません。まずは半年ほど続けて、前の期間と比べられる状態をつくることを目標にするとよいでしょう。
まとめ
小さな会社ほど、限られた時間とお金をどこに使うかの判断が売上に響きます。勘を確かめる道具として、問い合わせ・紹介の件数、案件の数、受注、成約率の4つを月ごとに見るところから始めましょう。記録は見送りも含めて残し、月に一度の振り返りで行動をひとつ決めると、分析が続きやすくなります。紹介や案件の記録を1か所にまとめる方法は、ご縁ナビのページで紹介しています。